3.9.18.境之谷富士塚跡

　境之谷公園（横浜市西区境之谷）付近に富士塚跡があることに気付いたのは地図でした。一部の古い地図に特異な等高線と字名が記されています。
　現在は周辺が拓けたために富士塚を確認できません。何時頃に削平されたかも判明しません。

　一帯は旧武蔵国久良岐郡戸部村の標高50mほどの尾根周辺で、今でも家並みの切目から富士山が見えます。特に冬場は良く見えます。史跡・名勝とは言い難いですが、記録として残します。

　富士塚の存在は「横浜市三千分一地形図・036_南太田(昭和7年・25年)」で確認できます。「国土地理院地図1/25000・横浜西部（昭和22.9.30）」でも、字名とそれらしき地形を確認できます。

　富士塚は、製作者の創意工夫が施されるので、西の等高線が詰まっているのは大沢崩れを表したのではないか。しかし後に道を通したためと思い直します。
現在の地図では存在すら確認できませんが、藤棚浦舟通りから久保谷共葬墓地へ　向かう道路の中程から小径を北に進んだ辺りです。存在を知っていれば見当は付きます。

　話が飛ぶようですが初代宮川香山（天保13～大正5年）、京都出身の世界的に有名な陶芸家です。
　1871(明治4)年に現横浜市南区庚台6番地に窯場を開設、後になって真葛焼を大成します。窯場は横浜大空襲（1945年）で瓦礫と化し、再建叶わず廃絶します。

　窯場の様子は、神奈川県立博物館編「横浜銅版画文明開化期の建築」で概要が知れます。右肩の住所は「横浜区西太田不二山下」ですが、この「不二山」が富士塚を指すとすれば辻褄が合います。後になって気付きました。

1.「横浜市三千分一地形図・036_南太田(昭和7年・25年)」横浜市
2.「横浜銅版画文明開化期の建築」神奈川県立博物館編

（2025年1月21日制作）