3.9.10.中華義荘(中国人墓地)

1.はじめに

Highslide JS 　横浜に4カ所ある外国人墓地の一つ、現中区大芝台に立地する中華義荘(中国人墓地)です。近くに根岸共同墓地も立地して、周辺は日本寺院も多く寺町が形成されています。

　中華義荘の主となる建物の地蔵王廟は、1892(明治25)年の建造です。すなわち居留地時代の建造であり、現存する横浜市内最古の近代建築と云われます。

2.昔日

2.1.元町增徳院墓地時代

Highslide JS 　1859(安政6)年の開港とともに関内に外国人居留地が形成されます。同時に横浜・神戸等の南京街を拠点とする華僑・華人の歴史も始まります。華僑・華人のために設立された公共墓地が横浜・神戸の中華義荘です。

　鎖国時代も中国との交易が続く長崎には唐人墓地が設置されます。京都華僑霊園は神戸から分化されたものです。

　横浜の華僑・華人で亡くなられた人は、当初、山手外国人墓地のイギリス人墓地と明確な区画無しに埋葬されます。1859(安政6)に描かれた五雲亭貞秀「御開港横濱めぐり」には、南京人墓と記された部分が確認できます。

2.2.中華義荘(中国人墓地)

Highslide JS 　その頃、中国人は居留外国人の恐らく半数近くを占めていたことでしょう。亡くなられる方も多く、墓地はすぐ手狭になります。そこで中国人専用墓地の貸与を神奈川県に願い出ます。

　1873(明治6)年、久良岐郡根岸村字大尻(現中区大芝台)に、神奈川県から土地を貸与されて専用区画ができます。翌年、周辺を借り増して中国人墓地として独立、中華義荘が設立されます。

2.3.地蔵王廟

Highslide JS 　中華義荘内の建造物の一棟が地蔵王廟で、1892(明治25)年に建造されます。すなわち居留地時代の建造物であり、現存する横浜市内最古の近代建築と云われます。門前に次の案内があります。

横浜市指定有形文化財（建造物）
　　地蔵王廟
　　指定年月日　　平成二年十一月一日
　　所有者　　　　公益財団法人 中華義荘
　　所在地　　　　中区大芝台七番地
　　年代　　　　　明治二十五年
　　規模　　　　　木骨煉瓦造、建築面精一九二・一㎡（中庭含む）

　安政五年（一八五八）の五力国通商条約によって開港された横浜に、居留地を中心として外国人が生活するようになりましたが、外国人のための墓地もこうした中で設けられました。 地蔵王廟は、当時横浜で生活していた中国の商人などの醵金により、明治二十五年（一八九二）、中国人墓地（中華義荘）に建てられたものです。
この地蔵王廟の建築は、中庭を中心に建物を前後に並んで取り囲む華南特有の形式で、広東 や台湾の廟建築に多くみられます。主要材を広東省広州から船で運搬し、軸部や外壁、屋根材は横浜で調達したもののようで、建築当初には、フランス人の手によって焼かれたジェラール瓦が使われていました。現存する市内の近代建築物としては最古のものであり、明治中期、居留地時代の横浜の建築状況を示すものとして貴重です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成二十六年三月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　横浜市教育委員会』

3.今日

4.引用

1.「公益財団法人・中華義荘」 http://z-ck.or.jp/giso/
2.「御開港横濱之全図でみる御開港横濱めぐり」人文社発行
　　 基図：「御開港横濱之全圖」五雲亭貞秀 1859(安政6)年
3.「都市の記憶」 横浜市歴史的資産調査会 平成19年2月
4.「日本華僑の共同墓地と后土・土地神の考察」松尾恒一
　　　　国立歴史民俗博物館研究報告 第199 集 2015 年12 月
　　　　https://ci.nii.ac.jp/naid/120006301627/
5.「座談会 横浜の外国人墓地 －山手・根岸・中華義荘・英連邦戦没者」
　　　　Web版「有鄰」第501号 平成21年8月10日
　　　　http://www.yurindo.co.jp/static/yurin/back/yurin_501/yurin2.html

（2025年8月19日制作）

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