3.9.01.ブラフ(The Bluff)の定義
1.ブラフの定義
このホームページは、ブラフを山手の意味で用います。
山手には狭義・広義の意味があります。このホームページは、狭義を「(横浜市中区)山手町」、広義を山手町の南西に広がる「本牧台地上」を含む、とします。
狭義・広義のブラフは文脈で分り難ければ適宜注釈を加えます。ブラフの意味・使われ方の例は以下を参照願います。
2.ブラフの意味・使われ方
2.1.プログレッシブ英和中辞典
＜名詞＞
*1* 絶壁，断崖(だんがい), 急勾配(こうばい)の岬［丘陵］；((the B-))（川・海などを見おろす）山の手.
*2* ((カナダ))（大草原の）木立ち；雑木林.
2.2.ランダムハウス英和大辞典
＜名詞＞
*1* 断崖(だんがい)，絶壁（▼横浜の「山手」を英米人はその崖から Bluff と呼ぶ）.
*2* ((ノースダコタ・ウィスコンシン・カナダ中部平原地方州)) （草原地帯の）木立，雑木林.
2.3.「BLUFF99 GARDEN」の案内板
“ブラフ(BLUFF)”とは“切り立った崖”という意味であり、新山下に面する絶壁上の地形から、外国人居留地の時代より、「BLUFF○○(数字）」のように記され、その番号は山下町の番地としてほぼ引き継がれています。この場所の愛称「BLUFF99GARDEN」は横浜山手の歴史的な呼び名に由来します。
2.4.伊川公司著「ハマことば」より「ブラフ」
掃部山公園(横浜市西区紅葉ケ丘)は、大正３(1914)年に旧彦根藩の井伊家から寄贈されたものです。その外周の一部が、明治初期に築造されたブラフ積みの石積み擁壁の土木遺構として残されていました。そこで、その安全性を保つためと、整備と保存 復元の要望が強かったので、このほどいったん解体した上での復元工事を終えています。
ブラフ積みというのは、山手地区で多く見られる洋風石積みの系統に属するもので、長さ80センチ、20センチ角の房州石を、１本ごとに崖地に控え凹凸を取って、外側は斜めに積んでいくという工法です。
このブラフ(Bluff)は、英語辞書を見てみると次の通りです。「崖」「断崖」「河や海などを見下ろす)山の手」とともに、「険しい」「絶壁」をいうと出ています。また、カナダ中部平原地方では草原地帯の木立、雑木林のことを意味します。船の船首部がほとんど垂直で、ずんぐりしているさまもいいます。
そこから、海岸や岬などが切り立った様子、絶壁の意味でも使います。かつては、外国人居留地の横浜・山手地区は通称ブラフといわれましたので、辞書によっては、「英米人は横浜の山手を、その崖からBluffと呼ぶ」とあります。
横浜開港資料館の中には、「獅子頭共同栓とブラフ溝」の掲示があり、その一部が見られるようになっています。
日本最初の近代水道である横浜隧道は、明治18(1885)年から設置されましたが、その水道の水受石は、山手の坂道などの道路側溝に使用されていた石材を再利用したものです。
2.5.内田四方蔵著「ハマッ子の歴史」より「モトマチ・いせざき・西口」
モトマチといえばすぐにハマトラとくる。
そのハマトラを創り出したのはフェリス女学院の女子大生である。モトマチはこのフェリス 女学院と長の年月をともに育ってきた街なのである。その縁は深いものがある。
モトマチの背後のブラフの眺めのよい所には昔からのミッションスクールが建てられていた。（大正末年頃までには）、ブラフの北から順に、サンモール、セントジョセフ、紅蘭（今の雙葉）、フェリス、共立、聖経（今は無い）と並び、南下して蒔田の丘に英和（今の成美）、そして神奈川の台地に捜真などのミッションスクールが、いずれも瀟洒な屋並で建てられていた。この中でも古参株がフェリスなのである。
3.描かれたブラフ
本牧台地は、旧東海道神奈川宿に対面する風光明媚な所です。ブラフの名前こそ使われませんが、多くの画家が切立つ崖を描いています。
4.引用
1.「ハマことば」 伊川公司 神奈川新聞社 2000年12月1日
2.「ハマッ子の歴史」 内田四方蔵 リテラル 2009年8月
(2019年8月15日制作、2025年6月11日更新)