3.8.08.横浜の海水浴場
1.はじめに
横浜市内に多くの海水浴場がありましたが、1960年前後を境に高度経済成長期の埋立てにより失われていきます。ここでは失われた海水浴場を振り返りますが、少しだけ現状を確認します。
横浜市内で唯一の海水浴場は、金沢区・海の公園内にあります。約１㎞にわたる砂浜は海水浴に限らず、一年を通して多くの人々が海とふれあう貴重な場所です。
ただし、1988年に金沢地先の埋立地に整備された人工海浜です。
横浜市内の自然海岸は、金沢区・野島の乙舳海岸に僅かに残ります。街歩きで近くに行くと観察に寄りますが、なかなか微妙な状態にあるとと感じます。海水浴場ではありません。
2.海水浴場
2.1.神奈川県の海水浴場
先日、横浜市電保存館に行きました。各型の市電車両が保存されていますが、他に往時のポスターなどが掲示されています。その一枚に横浜市内海水浴場のポスターがありました。
横浜市内に海水浴場があったことなど、知らない人が多いと被います。横浜市の東京湾に面した子安・本牧・磯子は代表で、細分すればもっと多くの。ポスターの中原海岸は、京浜急行屏風ヶ浦駅・杉田駅間です。
ポスターと古い新聞記事で横浜市の変化を感じて頂きますように。
『■ 大正14年8月30日 最も多かった海水浴客は県下で葉山、市内で磯子 県保安課調査による最近10日間の県下海水浴場入場者は、実に410300人に上るが、その内訳は－
磯子 59182 本牧 37119
子安 25756 川崎 1537
横須賀 11235 三崎 5963
浦賀 1771 葉山 118511
鎌倉 112520 藤沢 9351
大磯 1793 小田原 9560
右（上）の如くで、葉山の118511人を最多に、鎌倉の112520人がこれに次ぎ、三位が磯子海水浴場の59182である。 そして、海水浴場内の溺死8人、負傷235五件、盗難15件であったと。』
2.2.本牧の海水浴場
本牧には小港水泳場・宮原館・旭館・花屋敷等があり、大正初年頃から賑わいます。さらに根岸湾に沿って間門・根岸・磯子・杉田等に海水浴場が設けられます。特に間坂の階楽園海水浴場が有名です。
本牧十二天は居留民に人気のある場所で、ここで海水浴も行われたらしい。
富岡も外国人の好む海水浴場です。明治8年頃からの記録が残り、9年には宣教師のゴーブルやフルベッキが訪れています。また医師エルドリッジとヘボンの「家族旅寓」の木札が、今も慶珊寺に保存されているそうです。
山下海水浴場は明治15年ごろから、谷戸橋より小港に至る山下一帯で海水浴をする人が増えたと云われます。大正４年に埋め立てが始まり、海水浴場は本牧、根岸に移ります。
2.引用
1.「『横浜貿易新報』に見る昔の本牧 明治31年4月～昭和16年12月」須藤禎三 平成17年3月1日発行
（2024年9月29日制作）