3.7.22.浮世絵師・初代歌川広重
1.作品紹介
1.1.「神奈川台石崎楼上十五景一望之図(1858(安政５)年)」
旧東海道神奈川宿の上空から対岸の開港場方面を俯瞰しています。神奈川宿西側から野毛、横濱村、山手方面を俯瞰しています。まことに風光明媚な光景がひろがっていたと知れます。
注目すべきは山手の北端が切立つ崖として描かれています。この光景を以って、来日した外国人たちがブラフ、すなわち切立つ崖と呼称したことが納得できます。
2.略歴(美術家人名事典より)
別名等：別名・安藤広重､幼名・徳太郎､通称・重右衛門､徳兵衛､
号・一遊斎､遊斎､一幽斎､幽斎､一立斎､東海堂、一粒斎､色重亭
かな名：うたがわ・ひろしげ
生没年：1797～1858年、江戸・八重洲(現東京都)
記念館：馬頭広重美術館(栃木県那珂川町)、
由比町立東海道広重美術館(静岡県)
中山道広重美術館(岐阜県恵那市)
父・徳右衛門は江戸・八重洲河岸定火消同心。13歳で父母を亡くしたため、元服して家を継ぐ。 15歳の時には歌川豊広に入門して浮世絵を学び、文化9年(1812年)広重の号を与えられ、歌川を称することを許される。文政元年(1818年)より浮世絵師としての活動を本格化させ、6年家職を子に譲って隠居し、画業に専念。当初の画業は役者絵や武者絵、美人画などが主であったが、世評は高くはなかった。天保初年に一幽斎と号するようになってからは、葛飾北斎の影響を受けた川口屋正蔵版の｢東都名所｣などを手がけ、風景画や花鳥画に異彩を放つようになった。また、幕府の八朔の御馬進上行列に随行して上洛した時のスケッチをもとに天保4年(1833年)｢東海道五十三次之内｣を刊行して高い評価を受けた。以後、｢近江八景之内｣｢江戸近郊八景之内｣、渓斎英泉から引き継いだ｢木曽街道六十九次｣など天候の変化を導入して風景画に叙情味を与えた名所絵の秀作を次々と発表し、風景画家としての名声を確立。一方で花鳥画も多く描いた。弘化年間から嘉永年間にかけては江戸名所や東海道ものを量産したが、晩年には｢雪月花｣3部作や｢名所江戸百景｣などで写生に新境地を見出した。
3.引用
1.「美術家人名事典」 日外アソシエーツ 2017年3月25日
（2025年5月28日制作）