2.1.旧海岸編：外国人遊歩道本牧経由
2.1.1.要点
本牧は古くに開けた一帯です。鎌倉時代は源頼朝の後家人・平子氏が支配する平子郷、室町時代中期に小田原北条氏の支配下となり本牧郷として中心の存在です。江戸時代には東海道から外れるので保土谷宿の助郷村に位置付けられるなど中心の座を譲ります。
本牧から保土谷宿に向かう道筋は、本牧・桜道・牛坂(地蔵坂南側)・車橋・吉田新田八丁畷(現長者町通り)・野毛・保土谷道・保土谷宿です。山手隧道が完成するまでは本牧と東海道方面を結ぶ主要な道筋です。
この道筋の桜道・牛坂は現山手町の西南側境界です。と云うより、山手の居留地の境界でもありました。しかし関内の居留地から外国人遊歩道の尾根道に上るのに、桜道は少し行き過ぎて戻ることになるので、手前の地蔵坂が利用されるようになり、定着したのでしょう。道にも歴史があります。
2.1.2.主要データ
1.起点 ：JR石川町駅
2.終点 ：JR根岸駅
3.距離 ：約8.1km
4.歩行時間 ：約3時間15分(2.5㎞/hrとして)
5.高低差 ：41m(最高：41m(地蔵坂上)、最低：2m
6.休憩場所 ：休憩は山手公園、本牧せせらぎ公園、新本牧公園
トイレは山手公園、新本牧公園
7.備考 ：妙香寺過ぎでJR山手駅に向かうと、ルートを二分割することになります。
2.1.3.案内図
1. ：参照用案内図、
2.1.4.見所
101.JR石川町・102.濡れ地蔵
103.地蔵坂・104.小坂・105.乙女坂・106.蓮光寺・107.日光屋敷跡
中村川を亀の橋東詰に渡ると103.地蔵坂下です。 上り始めて直ぐ左に別れる 104.小坂 、 中ほどから右に別れる 105.乙女坂 、 直ぐに 106.蓮光寺 です。 坂は上りきる直前に右に曲がりますが、突き当りの高台が 107.日光屋敷(テンプルコートホテル)跡 、写真では奥です。
108.地蔵坂上交差点・109.山手町１番地
地蔵坂上で山手本通り横切り、桜道を下り始めます。この交差点の一角、山手本通りと桜道に挟まれた一角が山手町一番地です。すなわち、往時はこの道筋が関内と本牧を結ぶ基幹道路であったと理解できます。
地番は、北東(写真左上)に向かって増加するように付番され、現港の見える丘公園に突き当たると南側（左手)に増加するように付番されます。その後、居留地は南西(写真背後)に若干拡張されますが、200番地台に跳ぶ地番がその証拠と云えましょうか。
地蔵坂の南側の牛坂・桜道が山手町と石川町・本牧の境になります。
114.桜道・110.地蔵坂公園・111.山手町２番地・112.ブラフホテル跡・113.馬頭観世音菩薩
114.桜道 といいますがゆるい傾斜の坂です。
下り始めてすぐ右手が 110.地蔵坂公園 です。門柱に「BLUFF225」と表示されていますが、番地は山手町の無形の遺産です。
すぐ左手が山手町２番地で、1903～1942年までブラフ・ホテルがありました。この前辺りの路上で画家・國領經郎は「山手風景」を描いてています。
113.馬頭観世音菩薩 は右手の小径を100mほど入ります。新しいものですが、かつて馬力が多用されていたことの証ではないでしょうか。
115.桜道橋・116.山手隧道・117.第二山手隧道
第二山手隧道
関内と本牧を結ぶ山手の丘陵の下に掘られたトンネルで、
桜道橋と山手隧道(土木遺産)と
第二山手隧道 があります。
第二山手隧道が古く、1911年に後の横浜市電のために解説されます。山手隧道は、1923年に発生した関東大震災の復興事業として、市電トンネルの西側に自動車専用として開設されます。同時に本牧側に桜道橋が架橋されます。
山手隧道は桜道橋から観察できますが、第二山手隧道は桜道から下の本牧通りに降りて観察します。
118.下水溝・119.ブラフ溝・120.ブラフ溝・擁壁
123.山手公園・121.日本庭球発祥の地・122.テニス発祥記念館・124.旧山手68番館・125.ヒマラヤ杉発祥・126.音楽堂
123.山手公園
127.妙香寺・128,日本吹奏楽発祥・129,君が代発祥地
かつて127.妙香寺の寺域は山手公園まで広がります。薩摩軍楽隊の宿舎にもなり公園で練習もします。
生麦事件後の薩英戦争で戦った仲なのに、英国人から西洋音楽を習うことになるとは、不思議な縁です。そのような訳で門前に 君が代由緒地碑、境内に128.日本吹奏楽発祥地碑 と 129,君が代発祥地碑 とが建立されています。
ただしここで云う君が世は初代、私たちが知る君が代は二代目です。
132.鉄砲場跡・131.旧大和橋跡・135.千代崎川跡
134.根岸外国人墓地
133.JR山手駅
136,北方皇太神宮
137.本牧神社跡
139.天徳寺・138,琴平神社
140.本牧せせらぎ・
141.横浜市中図書館
142.本牧地区センタ
143.新本牧公園
144.本牧神社・149.アメリカ坂・145.東福院・146.間門交差点
148.根岸不動下交差点
路上観察を終えてJR根岸駅へ向かうなら直進します。
このまま尾根道編を継続してJR石川町駅に向かうならば右折します。すると100mほど先の正面に根岸不動尊が見えます。
203.根岸八幡神社・202.根岸なつかし公園・201.JR根岸駅
余力を残していれば根岸村鎮守の203.根岸八幡神社、有力商人・柳下氏が大正中頃に建設した和洋一体の近代和風住宅を観察するのも一興です。
（2025年8月16日制作、2025年10月25日改訂）