3.1.31_2.3.001.山手町１番地

1.山手町の原点

　地蔵坂上交差点の一角、山手本通りと桜道に挟まれる鋭角の土地です。１番地は地域の顔ですが、特に賑わう様子もありません。今は私立女子高校の運動場と背後の駐車場となっています。

　港の見える丘公園などの観光地区から最も離れたこの地がなぜ１番地なのでしょう。その理由を知るには居留地時代まで時を遡らなければなりません。

　往時、関内方面から本牧方面に向かうのは、地蔵坂を上り桜道を下ります。つまり１番地はメインストリートに面していた訳です。山手居留地は１番地から現在の観光地区に向かって拓けます。

　なぜメインストリートの座を譲ったかと云えば、関東大震災の復興事業の一環として、山手隧道が完成したからに他なりません。地蔵坂は、常時人力(荷車などのを後押しする人)が待機するほどの急坂ですから、平坦な本牧通りを利用すれば楽に行き来できます。隧道を横浜市電が通過し、自動車の普及も大いに関係したことは云うまでもありません。

2.引用

(2025年5月12日制作)