3.1.31_2.2.特色：坂
1.山手町の高低差
砂嘴と内海の埋立地が関内地区であり、その東側半分が居留地(後に山下居留地と云われる)になります。成立の経緯からして湿気の多い非衛生的な雰囲気は、外国人が増えるに従い快適な生活空間として山手が求められるようになります。
現横浜スタジアム・中華街一帯が標高2.5m以下を示し、その周辺も10m以下、実際は2.5mより多少高いだけです。それに対して山手は30mより高い所が多いです。
ブラフと云われる地形は、本牧台地東側の旧海岸線に面した崖のことです。崖直下から数10m先が旧海岸線、ここから北側は埋立地です。崖下から見上げるブラフ地形、黒船でやってきたペリー提督も船上から見つめたことでしょう。少し離れた本牧十二天の崖をマンダリンブラフと命名しています。
2.山手町の町界
山手町は、本牧台地東北側の丘上が選ばれます。環境の劣る谷戸を丹念に避けたことから出入りが激しくなるのは必然です。例外は元村増徳院(現外国人墓地一帯)と本牧妙香寺(現存)です。関内居留地が埋立てで湿気が多く、ブラフに日当たりの良い清潔な環境を求めた結果です。ちなみに白い部分が山下町、すなわち旧関内居留地の一部で、白色は標高2.5mを示します。往時は周辺に沼沢地が残ります。
3.山手町の坂
現港の見える丘公園から南西に向かう尾根筋上を山手本通りが延びます。この本通りと関内・本牧方面を名のある坂が結びます。
山手町の発足は、1899(明治32)年の条約改正で外国人居留地が廃止された直後です。その前10年ほどは、26か町が設置されています。
町名を列記すれば、谷戸坂町、山手本町通、富士見町、内台坂(現牛坂)、西坂町(現乙女坂付近)、地蔵坂、小坂町、大丸坂(現大丸谷坂)、撞木町、環町、公園坂、西野坂(現フェリス坂)、汐汲坂、高田坂、三ノ輪坂、稲荷町、南坂(旧セントジョセフの坂付近)、貝殻坂、宮脇坂、陣屋町、諏訪町通、弓町、畑町、矢ノ根町、泉町、林町。
これは道筋を基準にして町を形成しているからですが、それにしても坂のつく町名のなんと多いことでしょう。山手町は坂の町です。
(2025年4月18日制作)