3.1.31_1.2.着眼点
1.町界
山手の居留地は1866(慶応2)年11月、「横浜居留地改造及競馬場墓地等約書(慶応約書)」に居留地造成が盛り込まれます。1867(慶応3)年、久良岐郡横浜元村(現元町)・北方村・中村・根岸村の各一部を割いて居留地が設置されます。
山手町の町界は入り組んでいますが、谷戸を避けて丘陵上が選ばれているからです。色別標高図図で理由が判明します。
2.地番
土地に染みつく無形の遺産、山手町の地番は居留地時代の街路割りとほとんど変わりません。1～100番地は山手本通り沿い、101～176番地は谷戸坂（ワシン坂）通り沿い、201番地以降は競売順のようです。
一部の不規則な地番は、軍隊などが撤退した後の再付番です。複雑な地番が170年ほどの歴史を物語ります。
3.ブラフ積擁壁
房州石を用いた斜面の土砂崩れ防止の構造物です。景観の構成要素となることからブラフ積と呼ばれます。モデルが山手町99番地にあります。
4.ブラフ溝
房州石あるいは伊豆石を用いた雨水などの排水溝です。ブラフ積擁壁とともに造成されることが多いのでブラフ溝呼ばれます。モニュメントが額坂上部に面する元町公園にあります。
5.居留地境界石
居留地界を明示するために設置される石柱です。もともと少なく、現存するのはさらに限られます。山手十番館の植え込み中に移設された境界石があります。
6.敷地境界石
敷地境界石は、敷地界あるいは地番を明示するために設置される小振りの石柱です。道路際に設置されています。
7.石碑
石碑には、文学碑・顕彰碑・記念碑・墓碑などがあります。
記念碑のなかでも、日本初の出来事を記録するものが多いのは山手町の特徴、関内居留地にも多くあります。
外国人墓地は横浜を代表する風景のひとつです。開港当時から、日本に来て故国に帰ることなく墓地で永眠する有名・無名の人たちは少なくありません。外国人墓地は、今は根岸に移転した旧増徳院墓地が拡大したものです。山手町に日本寺院はありますが稀です。
建造物、特に多くある歴史的建造物の代表が観光名所の山手西洋館です。移設されたものを含みます。また関東大震災で破壊された建造物の遺構も往時を浮かび上がらせます。
文化人のおもかげは、様々な形となって記録されています。画家の残した作品は往時の山手町の風景を留め、文学者は文学碑の形で記録されます。
(2025年4月18日制作)