3.1.31_1.1.はじめに

1.山手とは

　山手は山の方を指し示す言葉ですが、横浜山手と云えば関内一帯から東南方向に見える丘陵地のことです。厳密な定義の有無を知りませんが、多摩丘陵から枝分かれする横浜市中心部南側に位置する本牧台地に納まる範囲と考えます。横浜開港の頃、山手の居留地や外国人遊歩道が延びる範囲と言えます。
　台地の北側を中村川・堀川が、西側を掘割川が流れます。

　かつて本牧台地は海に囲まれ、海岸線から急な崖が立上ります。いまは周囲の海が全て埋立てられ、かつての海岸線に沿って濃い緑の帯が続きます。

　ここでは「狭義の山手を山手町」、「広義の山手を本牧台地上」と定義とします。ひとまずは狭義の山手・山手町に焦点を当てます。広義の山手は別にまとめます。

2.山手町とは

　「港の見える丘公園」「外国人墓地」「西洋館」などの観光名所は、山手町の北東端に位置します。しかし山手町を総じて云えば閑静な住宅地です。所々に明治期開校のミッションスクールなどを含む教育機関が立地する文教地区の側面も併せ持ちます。

　山手町は1899(明治32)年7月24日に設置される意外に新しい町です。しかしそれは行政上のこと、外国人居留地時代の頃から近代化の息吹を振り撒く時代の先端を行く町です。
　山手町を良く知ること、それは庶民目線で日本の近代化を振り返ることに繋がると云えるでしょう。

(2025年4月18日制作)