1.1.12_4.229.赤井不動尊

1.概説

　正法院本堂右脇の階段を上ると、丘の中腹に不動堂があります。

　案内されているお不動様の縁起は次のとおりです。

赤井不動尊
　この「瀧のお不動さま」は元禄元年（一六八八）、当院の瀧の山（現在の冨岡中学付近）に祀っておりましたが大正の始めごろに軍需工場が出来て交通が規制されたために、当地に移され赤井のお不動様として祀られました。石段の入口に「瀧不動江之道」（享保十六年）として前不動が祀られております。

　併せて掲載されている「福石」の案内は次のとおりです。

不動の福石（ご自由にお持ちください）　このお不動様に願いをかけるには願いをかけた小石をお供えして一つ持ち帰る。願いを叶えたら小石をふやしてお返しをする。または身代わりの御守として小石を身近において後ほどお返しする。　昔から幸せをもたらし悪を退散させ、すべての御利益にあずかる事が出来るといわれております。

　お不動様のお参りを終えたら振り返りましょう。この場所は能見台の南側に位置していて、南への視界が開けます。
　正面に見える丘の右側斜面が手子神社です。丘の左下から正法院を結ぶ右へ膨らんだ円弧の左側は、かつての入江です。視線を右に移動すると、釜利谷から武相尾根まで、今まで歩いて来た、あるいはこれから歩いて行く道筋を一望できます。
　金沢八景の一つは「洲崎晴嵐」です。しかし当初は「山市晴嵐」として峠村、今の朝比奈町付近の賑わいを指していました。元の瀟湘八景も「山市晴嵐」で、それに倣ったことでしょう。金沢八景根源地は能見堂、やや低くなりますが赤井不動まで上ってきたからこそ見える風景です。朝比奈辺りの喧騒が響いてくるような気がします。

2.基本情報

1.住所　　：横浜市金沢区釜利谷東3-4-24(正法院奥の院)
2.交通機関：京急金沢文庫駅西口から徒歩10分

3.参考文献

1.「相模国紀行文集：金沢名所杖」神奈川県図書館協会郷土資料委員会／編 1972.3
2.「新編武蔵風土記稿第四巻」蘆田伊人平成8年6月20日雄山閣
3.「かなざわの霊場めぐり」金沢区仏教会平成27年12月

(2021年5月31日制作)